犬を迎えることが決まると、ケージやフード、おもちゃなど、必要なものをすぐにそろえたくなります。
しかし、最初に確認したいのは用品の種類だけではありません。
犬を飼い始めると、毎日の食事や散歩、トイレの片付けに加え、予防接種、通院、留守番、旅行時の預け先なども考える必要があります。犬の大きさや年齢によっては、生活時間や住環境を大きく変えることもあります。
環境省も、犬を迎える前に家族全員で話し合い、最後まで責任を持って飼えるか確認するよう呼びかけています。
この記事では、初めて犬を飼う人に向けて、迎える前に必要な用品、費用、住環境、家族で決めておきたいことを順番にまとめます。
犬を飼う前に確認したいチェックリスト
まずは、次の項目を確認してみてください。
- 家族全員が犬を迎えることに賛成している
- 家族に犬アレルギーの心配がない
- ペットを飼育できる住居である
- 毎日、食事や散歩、トイレの世話ができる
- 長時間の留守番が続かない
- 毎月の飼育費と急な治療費を負担できる
- 引っ越しや転勤の可能性を考えている
- 旅行や入院時に犬を預けられる
- 犬が高齢になっても世話を続けられる
- 家族が飼えなくなった場合の引受先を考えている
ペトくら編集部環境省の譲渡前チェックでも、住居、費用、家族の同意、アレルギー、留守番時間、緊急時の預け先、終生飼養などが確認項目として挙げられています。
一つでも不安がある場合は、犬を迎える日を急がず、先に解決方法を考えておきましょう。
犬を迎える前に家族で決めておくこと
犬の世話を「できる人がやる」と決めてしまうと、特定の家族に負担が集中しがちです。
迎える前に、少なくとも次の担当を決めておきます。
| 世話の内容 | 決めておくこと |
|---|---|
| 食事 | 誰が、何時に、どのくらい与えるか |
| 散歩 | 朝と夕方を誰が担当するか |
| トイレ | 誰がシート交換や掃除をするか |
| 通院 | 平日に病院へ連れて行ける人はいるか |
| しつけ | 家族で使う指示やルールを統一する |
| 費用 | フード、医療費、保険料を誰が負担するか |
| 留守番 | 何時間までにするか |
| 旅行時 | ペットホテル、シッター、親族のどれを利用するか |
特にしつけは、家族によってルールが違うと犬が混乱します。
例えば、「ソファに乗ってよい」「人の食事中は近づかせない」「寝室には入れない」など、生活上のルールを先にそろえておくと、迎えた後のトラブルを減らせます。
住居で犬を飼えるか確認する
賃貸住宅や集合住宅では、「ペット可」と書かれていても、犬の大きさや頭数に制限がある場合があります。
管理規約や賃貸借契約書で、次の点を確認してください。
- 犬を飼ってよいか
- 飼育できる頭数
- 大型犬や中型犬の制限
- 共用部分での移動方法
- エレベーター利用時のルール
- 飼育開始時の届出
- 追加の敷金や清掃費
- 鳴き声や臭いに関する規則
口頭で「大丈夫」と聞いただけではなく、契約書や管理規約で確認しておく方が安心です。
戸建て住宅でも、近隣との距離が近い場合は、鳴き声、庭からの脱走、排泄物の臭いなどに配慮する必要があります。動物愛護管理法では、飼い主に対して、動物の健康と安全を確保するとともに、周囲へ迷惑をかけないよう努めることが求められています。
犬を迎える前に必要なもの
犬を迎える当日までに、すべての犬用品を買いそろえる必要はありません。
最初から必要なものと、犬の性格や生活を見てから選ぶものに分けると、無駄な買い物を減らせます。
迎える前に必ず用意したい犬用品
ケージまたはサークル
犬が安心して休める場所として、ケージやサークルを用意します。
選ぶ際は、犬が中で立ち上がり、向きを変え、横になれる広さが必要です。子犬の場合は成長後の大きさも考えます。
ただし、成犬時に合わせて極端に大きなものを選ぶと、子犬が落ち着きにくかったり、寝床とトイレの区別をつけにくかったりすることがあります。仕切りを動かせるタイプなら、成長に合わせて調整できます。
ケージは罰を与える場所ではなく、静かに休める安全な場所として使います。災害時や通院時に備えて、日頃からケージやクレートに入ることへ慣らしておくことも大切です。
クレートまたはキャリーケース
動物病院への通院、車での移動、災害時の避難に使います。
犬の体に対して大きすぎると移動中に体が揺れ、小さすぎると窮屈になります。犬が自然に立ち、方向転換できる大きさを選びましょう。
迎えに行く当日も、抱っこだけで移動するのではなく、安全に固定できるクレートやキャリーを用意します。
トイレトレーとペットシーツ
室内で排泄させる場合は、トイレトレーとペットシーツが必要です。
子犬は排泄回数が多く、トイレを外すこともあります。最初はトイレの周囲にもシートを敷き、成功する範囲を広めに取っておくと掃除がしやすくなります。
シートの端を噛む犬には、メッシュカバー付きのトレーが向いています。
ドッグフード
迎える直前は、それまで食べていたものと同じドッグフードを用意するのが基本です。
環境が変わるだけでも犬には負担がかかります。迎えた当日からドッグフードまで急に変えると、食べなくなったり、おなかの調子を崩したりする可能性があります。
ブリーダー、ペットショップ、保護団体などへ、次の内容を確認しておきます。
- 商品名
- 1日に与えている量
- 1日の食事回数
- 食事を与える時間
- ドライのままか、ふやかしているか
- おやつを与えているか
- 食物アレルギーや苦手な食材はあるか
フードを変更する場合も、迎えて生活が落ち着いてから、現在のフードへ少しずつ混ぜて切り替えます。
フードボウルと水入れ
食事用と飲み水用をそれぞれ用意します。
軽すぎる器は、食べているうちに動いたり、犬がひっくり返したりすることがあります。陶器やステンレスなど、安定しやすく洗いやすいものが使いやすいでしょう。
水はいつでも飲めるようにし、ボウルを倒しやすい犬には固定式や給水器も検討します。
首輪またはハーネス
首輪やハーネスは、犬の体格に合うものを選びます。
子犬は成長が早いため、サイズ調整の範囲も確認してください。装着後に緩すぎると抜ける可能性があり、きつすぎると首や体へ負担がかかります。
迎えた直後は、慣れない環境で驚いて逃げようとすることがあります。玄関や屋外では、抱っこだけに頼らず、脱走防止を意識しましょう。
リード
散歩用のリードは、初めて飼う場合、長さを固定できる一般的なタイプが扱いやすいでしょう。
伸縮式リードは広い場所では便利ですが、急な飛び出しを止めにくいことがあります。まずは通常のリードで、人の横を歩く練習から始めます。
ベッドまたは毛布
犬が落ち着いて眠れるよう、ベッドや洗える毛布を用意します。
ただし、柔らかいベッドを噛んで中身を出してしまう犬もいます。最初は高価なものを選びすぎず、洗いやすさと安全性を優先するとよいでしょう。
消臭・掃除用品
トイレの失敗、嘔吐、食べこぼしなどに備えて、次を用意します。
- ペット用消臭剤
- ティッシュやペーパータオル
- ゴミ袋
- 洗える雑巾
- フローリング用掃除用品
- ふた付きのゴミ箱
犬が床へ排泄した場合、臭いが残ると同じ場所で繰り返すことがあります。香りで隠すだけではなく、ペットの排泄物に対応した清掃用品を使います。
犬を迎えた後でもよいもの
次の用品は、犬の大きさや性格を見てから購入しても間に合います。
- 高機能な犬用ベッド
- 自動給餌器
- ペットカメラ
- 給水ファウンテン
- 犬用カート
- レインコート
- クールベスト
- 冷却マット
- 洋服
- 知育玩具
- 大量のおやつ
- 高価なブラシやシャンプー
特に犬用ベッドやおもちゃは、犬によって好みが分かれます。
最初にまとめ買いするより、一つずつ試し、実際に使うものを追加する方が失敗を減らせます。



犬を迎える前に整えたい生活環境
床の滑り対策をする
フローリングは犬が滑りやすいため、よく走る場所や曲がる場所にマットを敷きます。
特に廊下、リビング、ソファの周囲は滑りやすい場所です。全面に敷けない場合は、犬の生活動線から優先します。
マットは、ずれにくく、洗濯や拭き掃除がしやすいものが便利です。
電気コードを隠す
子犬は、床にあるものを口へ入れたり、コードを噛んだりすることがあります。
- 電気コード
- 充電ケーブル
- 延長コード
- イヤホン
- ゲーム機の配線
これらは犬が届かない場所へ移動し、必要に応じてコードカバーを使います。
誤飲しそうなものを片付ける
人にとっては小さなものでも、犬が飲み込むと危険です。
迎える前に、床や低い棚から次のものを片付けます。
- 薬
- 乾電池
- ボタン
- アクセサリー
- ヘアゴム
- たばこ
- ビニール袋
- 靴下
- 子どものおもちゃ
- ティッシュ
- 食品の包装
ゴミ箱も、ふた付きのものへ替えるか、犬が入れない場所へ置きます。
食べ物を犬の届く場所へ置かない
テーブルの上や低い棚に食べ物を置いていると、犬が背伸びをしたり、椅子へ乗ったりして取ることがあります。
人の食べ物の中には犬へ与えるべきではないものもあるため、調理中や食事後の片付けも含めて保管場所を見直します。
玄関と窓の脱走対策をする
家族が玄関を開けた瞬間に、犬が外へ飛び出すことがあります。
必要に応じて、玄関の手前へペットゲートを設置します。ベランダや庭へ出す場合も、柵の隙間、扉の閉まり方、地面を掘って抜けられないか確認してください。
室温を管理できるようにする
犬だけで留守番させる場合は、エアコンで室温を管理できる環境が必要です。
夏や冬は、外出時に冷暖房を切ると、室温が大きく変化することがあります。温湿度計を犬が過ごす高さに置き、日中の温度変化を確認しておきましょう。
犬を飼うために必要な費用
犬を飼う費用は、迎えるときだけではありません。
継続して発生する主な費用には、次のものがあります。
- ドッグフード
- おやつ
- ペットシーツ
- シャンプーやお手入れ用品
- 狂犬病予防注射
- 混合ワクチン
- ノミ・マダニ、フィラリア対策
- 健康診断
- 病気やけがの治療費
- トリミング
- ペット保険
- 冷暖房の光熱費
- ペットホテルやシッター
- 壊れた犬用品の買い替え
アニコム損保が保険契約者を対象に行った2025年の調査では、犬1頭にかけた年間支出の平均は41万3,416円でした。単純に12か月で割ると月約3万4,000円ですが、犬種、体格、健康状態、トリミングの有無などによって大きく変わります。治療費だけでも平均8万9,120円とされているため、毎月の費用とは別に、急な通院へ備えるお金も必要です。
この金額には犬の購入代金や譲渡時の費用が含まれるとは限らないため、迎える前の初期費用は別に考えておきましょう。
初期費用として考えておきたいもの
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 犬を迎える費用 | 購入代金、譲渡費用、搬送費など |
| 基本用品 | ケージ、トイレ、食器、キャリーなど |
| 健康管理 | 健康診断、ワクチン、予防薬など |
| 登録手続き | 犬の登録、マイクロチップ情報変更など |
| 住環境 | マット、ゲート、配線カバーなど |
| 緊急用資金 | 病気、誤飲、けがなどへの備え |
「犬を購入する費用を払えるか」だけでなく、その後も毎月継続して支払えるかを確認することが大切です。
かかりつけの動物病院を探しておく
犬を迎えてから慌てて探すのではなく、自宅周辺の動物病院を事前に調べておきます。
確認したいのは次の点です。
- 自宅からの距離
- 診療時間
- 休診日
- 予約の要否
- 駐車場の有無
- 夜間や休日の対応
- 緊急時に利用できる病院
- 支払方法
通常のかかりつけ病院とは別に、夜間救急病院の連絡先もスマートフォンなどへ登録しておくと安心です。
迎える前に受けているワクチン、健康診断、投薬の内容も確認し、書類を病院へ持参できるようにしておきます。
犬を迎えた後に必要な手続き
犬の登録と狂犬病予防注射
犬の飼い主には、現在住んでいる市区町村へ犬を登録し、年1回の狂犬病予防注射を受けさせる義務があります。また、交付された鑑札と注射済票を犬へ装着する必要があります。
具体的な手続き方法は自治体によって異なるため、犬を迎えたら市区町村の窓口や公式サイトを確認してください。
マイクロチップ情報の変更登録
ペットショップやブリーダーなどから、すでにマイクロチップが装着された犬を迎えた場合は、飼い主の情報へ変更登録します。
前の飼い主や販売事業者の情報のままでは、迷子になった際に新しい飼い主へ連絡できない可能性があります。環境省の登録システムでは、犬を購入・譲受した場合に「所有者の変更登録」を行うよう案内しています。
引き渡し時に、マイクロチップの識別番号と登録証明書を受け取ってください。
ペット保険を検討する
ペット保険は必ず加入しなければならないものではありません。
ただし、加入する場合は、年齢、既往歴、待機期間、補償対象外となる病気などの条件があります。犬を迎えてから比較を始めるのではなく、事前に補償内容を確認しておくと判断しやすくなります。
保険へ加入しない場合は、医療費専用の貯蓄を用意する方法もあります。
犬を迎える場所へ確認しておきたいこと
引き渡し前に、ペットショップ、ブリーダー、保護団体などへ次を確認します。
- 生年月日
- 犬種と予想される成犬時の大きさ
- 現在の体重
- 食べているフード
- 食事の回数と量
- トイレの方法
- ワクチン接種歴
- 健康診断の結果
- 投薬中の薬
- 過去の病気やけが
- マイクロチップ番号
- 登録証明書の有無
- 性格や苦手なこと
- 人や犬との接し方
- 留守番の経験
- 使用しているトイレシートや寝具
書類は口頭説明だけで済ませず、受け取ったものを一つのファイルへまとめて保管します。
犬を迎える当日の準備
迎える当日は、家族や友人を大勢集めず、犬が静かに過ごせるようにします。
新しい家へ到着したら、まず次の場所を教えます。
- 水飲み場
- トイレ
- ケージや寝床
家中を自由に歩かせるのではなく、最初は安全を確認した限られた範囲で過ごさせると管理しやすくなります。
かわいくて何度も抱っこしたくなりますが、移動や環境の変化で疲れていることもあります。自分から近づいてくるまでは、静かに見守る時間も必要です。



食事は、引き渡し元で食べていたフードを、聞いていた時間と量に合わせて与えます。
初日から完璧にできなくても問題ない
犬を迎えた直後は、トイレを失敗したり、夜に鳴いたり、フードを残したりすることがあります。
新しい家、知らない人、初めての音や臭いに慣れるまでの時間は、犬によって異なります。
最初から家中のルールを一度に教えるのではなく、
- 安全に過ごす
- 食事と睡眠を取る
- トイレの場所を覚える
- 家族との生活に慣れる
という順番で進めましょう。
強く叱るよりも、失敗しにくい環境を作り、できたときに褒める方が犬にも伝わりやすくなります。
犬を飼う前の最終チェック
犬を迎える日が近づいたら、次をもう一度確認します。
生活と家族
- 家族全員の同意を得た
- 世話の担当を決めた
- 留守番時間を確認した
- 旅行や入院時の預け先を考えた
- 犬が高齢になった後も飼える
住環境
- ペット飼育が認められている
- ケージを置く場所を決めた
- 床の滑り対策をした
- 電気コードや小物を片付けた
- 玄関や窓の脱走対策をした
- 冷暖房を使える
犬用品
- ケージまたはサークル
- クレートまたはキャリー
- トイレトレー
- ペットシーツ
- ドッグフード
- 食器と水入れ
- 首輪またはハーネス
- リード
- ベッドまたは毛布
- 清掃用品
手続きと健康
- 近くの動物病院を調べた
- 夜間救急病院を調べた
- 健康状態とワクチン歴を確認した
- マイクロチップの登録証明書を確認した
- 自治体で必要な手続きを調べた
- ペット保険または医療費の備えを考えた
まとめ|用品より先に生活全体を準備する
初めて犬を飼うときは、ケージやフードなどの犬用品に目が向きやすくなります。
しかし、本当に大切なのは、犬が家族の一員として長く暮らせる環境を作ることです。
- 家族全員で世話の方法を話し合う
- 継続的な飼育費と医療費を確認する
- 誤飲、脱走、転倒を防げる住環境にする
- 最初から必要な用品だけを用意する
- 動物病院や緊急時の預け先を決める
- 登録やマイクロチップの手続きを確認する
犬の大きさや性格は、実際に暮らし始めてから分かる部分もあります。
最初からすべてを完璧にそろえようとせず、安全に生活するために必要なものを優先し、犬の成長や性格に合わせて少しずつ追加していきましょう。



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