愛犬が急にドッグフードを食べなくなると、「わがままなのかな?」「体調が悪いのかな?」と不安になりますよね。
犬がご飯を食べない理由は、単なる好みや環境の変化だけでなく、口の中の痛み、胃腸の不調、内臓疾患、ストレス、誤飲などさまざまです。VCA Hospitalsでは、食べムラや食欲低下の背景として、歯科疾患、腎臓病、異物による消化器トラブルなどが関係することがあると説明しています。
この記事では、犬がドッグフードを食べないときに家庭で確認したいこと、原因別の対応方法、動物病院の受診を検討したい目安を分かりやすく解説します。
まず確認したいのは「まったく食べない」のか「ドッグフードだけ食べない」のか
犬がご飯を食べないときは、まず状態を分けて考えます。
確認したいのは、次のどちらに近いかです。
- 水も飲まず、フードもおやつも食べない
- おやつや人の食べ物は食べるが、ドッグフードだけ食べない
- 少しは食べるが、いつもより明らかに量が少ない
- 朝だけ食べない、夜だけ食べない
- 新しいフードに変えてから食べなくなった
- 食べようとするが、口からこぼす・噛みにくそうにする
ペトくら編集部特に注意したいのは、まったく食べない状態です。
単なる好き嫌いであれば、おやつや好物には反応することがあります。しかし、体調不良が原因の場合は、普段好きなものにも興味を示さないことがあります。
また、食欲だけでなく、元気、便、嘔吐、水の飲み方、呼吸、歩き方、口の中の様子も一緒に確認しましょう。
すぐに動物病院へ相談したいケース
犬がドッグフードを食べないとき、すべてが緊急というわけではありません。
ただし、次のような場合は早めに動物病院へ相談してください。
- 24時間以上ほとんど食べていない
- 水も飲まない
- 元気がない
- 嘔吐や下痢がある
- 何度も吐こうとする
- お腹が張っている
- ぐったりしている
- 呼吸が荒い
- 震えている
- 口を痛がる、よだれが多い
- 異物誤飲の可能性がある
- 子犬、シニア犬、持病のある犬
- 急に体重が減っている
Small Door Veterinaryでは、犬が24時間食べていない場合、特に下痢や元気消失などの症状を伴うときは獣医師に連絡することをすすめています。 また、日本の動物病院の解説でも、食欲不振が3日以上続く場合や完全に食べない状態、嘔吐・下痢・元気消失を伴う場合は診察を受ける目安とされています。
特に子犬は体力や血糖の余裕が少ないため、成犬より早めの対応が必要です。シニア犬や持病のある犬も、「少し様子を見る」より、早めに相談した方が安心です。
犬がドッグフードを食べない主な原因
犬がフードを食べない原因は、大きく分けると次のようになります。
- 体調不良
- 口や歯のトラブル
- フードが合っていない
- フードの鮮度やにおいの問題
- おやつの与えすぎ
- 環境やストレス
- 運動不足
- 加齢
- わがまま・学習による食べ渋り
原因はひとつとは限りません。たとえば、「暑さで食欲が落ちている」「おやつが多い」「最近フードを変えた」など、複数の理由が重なっていることもあります。
原因1|体調が悪い
急にドッグフードを食べなくなった場合、まず疑いたいのは体調不良です。
胃腸炎、発熱、痛み、内臓疾患、感染症、誤飲など、犬が食べなくなる病気は多くあります。Royal Kennel Clubでは、犬が食べない理由として、痛み、心臓・肺・肝臓・膵臓・腎臓などの臓器の問題、一般的な体調不良などを挙げています。
次のような様子がある場合は、フードの好き嫌いではなく、体調不良を疑いましょう。
- いつもより元気がない
- 眠っている時間が長い
- 散歩に行きたがらない
- 嘔吐や下痢がある
- お腹を痛がる
- 体を丸めている
- 水を飲む量が急に増えた、または減った
- 呼吸が荒い
- 震えている
この場合は、食いつきを良くする工夫よりも、まず体調確認が優先です。無理に食べさせようとせず、動物病院に相談しましょう。
原因2|口や歯が痛い
犬が食べようとするのに食べられない場合、口の中のトラブルが関係していることがあります。
たとえば、歯周病、歯のぐらつき、口内炎、歯の破折、口の中のできものなどです。
次のような様子がある場合は、口の中を痛がっている可能性があります。
- フードを口に入れても出す
- 片側だけで噛んでいる
- 硬いフードを嫌がる
- よだれが多い
- 口臭が強くなった
- 口元を触られるのを嫌がる
- 食べるスピードが急に遅くなった
- ドライフードより柔らかいものを好む
VCA Hospitalsでは、歯科疾患は痛みを伴い、犬が食べたがらなくなる原因になると説明しています。また、見た目には歯が健康そうに見えても、歯ぐきの下で問題が起きていることもあるため、口腔検査が役立つ場合があります。
口の中の痛みが疑われる場合は、硬いフードを無理に食べさせず、動物病院で確認してもらいましょう。
原因3|フードを急に変えた
ドッグフードを変えた直後に食べなくなった場合、新しいフードの味、におい、粒の大きさ、食感に慣れていない可能性があります。
また、急なフード変更は胃腸に負担がかかることがあります。AAHAの資料では、急な食事変更は消化器症状や食物への嫌悪につながることがあり、犬では7日ほどかけて新しいフードへ移行する方法が紹介されています。
フードを切り替えるときは、次のように少しずつ混ぜると移行しやすくなります。
| 期間 | 今までのフード | 新しいフード |
|---|---|---|
| 1〜2日目 | 75% | 25% |
| 3〜4日目 | 50% | 50% |
| 5〜6日目 | 25% | 75% |
| 7日目以降 | 0% | 100% |
便がゆるくなったり、吐いたり、食べなくなったりする場合は、切り替えのスピードが早すぎる可能性があります。その場合は、元の割合に戻す、移行期間を長めにする、または動物病院に相談しましょう。
原因4|フードの鮮度が落ちている
犬はにおいに敏感です。
開封から時間がたったドッグフードは、酸化によって風味が落ちることがあります。見た目には変化がなくても、犬にとっては「おいしくない」「においが変」と感じているかもしれません。
確認したいポイントは次の通りです。
- 開封してから時間がたっていないか
- 袋の口をしっかり閉じているか
- 高温多湿の場所に置いていないか
- 直射日光が当たっていないか
- 大容量を長期間かけて食べていないか
- フードのにおいがいつもと違わないか
ドライフードは、開封後の保存状態で食いつきが変わることがあります。袋のまま密閉し、涼しく乾燥した場所で保管しましょう。
特に小型犬は1日の食事量が少ないため、大容量を買うと食べ切るまでに時間がかかります。コスパだけで大容量を選ぶのではなく、鮮度を保てる量かどうかも考えることが大切です。
原因5|おやつやトッピングが多い
ドッグフードは食べないのに、おやつは食べる。
この場合、体調不良ではなく「おやつの方がおいしい」と学習している可能性があります。
たとえば、フードを食べないたびにおやつや人の食べ物を出していると、犬は「フードを残せばもっとおいしいものが出てくる」と覚えてしまうことがあります。
次のような習慣がある場合は注意しましょう。
- フードを残すとすぐトッピングを追加する
- 食べないとおやつをあげる
- 人の食事を分けている
- 家族によって与えるものが違う
- おやつの量が多い
- 食事時間以外にも何かを食べている
おやつはコミュニケーションにも役立ちますが、量が多いと主食を食べなくなる原因になります。
まずは、おやつを一時的に減らし、食事時間を決めて、主食を食べる習慣を戻していきましょう。
原因6|食事環境が落ち着かない
犬は環境の変化でも食欲が落ちることがあります。
引っ越し、模様替え、家族構成の変化、来客、新しい犬や猫を迎えた、留守番時間が増えた、工事音がするなど、ストレスの原因はさまざまです。
次のような変化がなかったか確認してみましょう。
- 食器の場所を変えた
- 食器を新しくした
- 家の中が騒がしい
- 他の犬や猫に近くで見られている
- 食事中に人が頻繁に触る
- 留守番時間が増えた
- 暑さや寒さで過ごしにくい
- 散歩や遊びの時間が減った
食事場所は、静かで落ち着ける場所にするのがおすすめです。多頭飼いの場合は、犬同士の距離を離したり、別々の部屋で食べさせたりすると改善することがあります。
原因7|運動量が少なくお腹が空いていない
運動量が少ない日は、単純にお腹が空いていないこともあります。
特に室内で過ごす時間が長い犬や、雨の日に散歩が短くなった犬は、いつもより食べる量が少なくなることがあります。
ただし、「食べないから運動させればいい」と無理に激しい運動をさせる必要はありません。体調が悪い可能性もあるため、元気があるか、便や水分摂取に変化がないかを見ながら判断しましょう。
元気があり、便も正常で、少し残す程度であれば、運動量や気温による一時的な食欲低下の可能性もあります。
原因8|加齢で食欲や食べ方が変わった
シニア犬になると、若い頃より食欲や食べ方が変わることがあります。
考えられる理由は、運動量の低下、嗅覚の変化、歯や口の痛み、筋力低下、内臓疾患、認知機能の変化などです。
次のような変化がある場合は、年齢のせいと決めつけず、動物病院で相談しましょう。
- 体重が減っている
- 食べる量が少しずつ減っている
- 水を飲む量が増えた
- 口臭が強くなった
- 食べるのに時間がかかる
- 寝ている時間が増えた
- 以前より疲れやすい
- 便や尿の状態が変わった
シニア犬の食欲低下は、病気の初期サインとして現れることもあります。急激な変化だけでなく、数週間〜数か月かけて少しずつ食べなくなっている場合も注意が必要です。
家庭でできる食いつき改善の工夫
犬が元気で、嘔吐や下痢もなく、ドッグフードだけを食べ渋る場合は、家庭でできる工夫を試してみましょう。



フードを少し温める
ドライフードにぬるま湯を少量かけると、香りが立ちやすくなります。
犬はにおいで食べ物を判断することが多いため、香りが強くなるだけで食いつきが良くなることがあります。
ただし、熱湯をかけるとやけどの危険があるため、人肌程度まで冷ましてから与えましょう。
ふやかして食べやすくする
硬いフードを嫌がる場合は、ぬるま湯でふやかす方法もあります。
子犬、シニア犬、歯が弱い犬、飲み込みにくそうな犬には、ふやかしフードの方が食べやすいことがあります。
ただし、ふやかしたフードは傷みやすいため、長時間置きっぱなしにしないようにしましょう。
食器を変える
食器が合っていないことで食べにくい場合もあります。
確認したいのは、食器の高さ、深さ、素材、滑りやすさです。
鼻が短い犬は浅めの食器が食べやすいことがあります。シニア犬や首を下げにくい犬は、少し高さのある食器台を使うと楽になる場合があります。
食事時間を決める
いつでも食べられる状態にしていると、食事への集中が弱くなることがあります。
フードを出して15〜20分ほどたっても食べない場合は、いったん片付ける方法もあります。
ただし、子犬、持病のある犬、低血糖リスクのある犬では、長時間食べない状態が危険になることがあります。心配な場合は、食事管理の方法を動物病院に相談しましょう。
トッピングは少量にする
トッピングは食いつき改善に役立つことがありますが、入れすぎには注意が必要です。
毎回たっぷりトッピングしないと食べなくなると、主食の栄養バランスが崩れたり、カロリーオーバーになったりすることがあります。
使う場合は、少量を香りづけ程度にするのがおすすめです。
やってはいけない対応
犬がフードを食べないと、つい何とか食べさせたくなります。
しかし、次のような対応は避けましょう。
- 無理やり口に押し込む
- 食べないたびに人の食べ物を与える
- 急に大量のトッピングを加える
- 何種類ものフードを短期間で次々変える
- 嘔吐や下痢があるのに自己判断で様子を見すぎる
- 食べない状態を何日も放置する
- ネット情報だけで病気ではないと判断する
特に、無理やり食べさせる行為は、誤嚥や食事への嫌悪につながるおそれがあります。
食欲不振が続く場合は、「食べさせる方法」を探すより、まず「なぜ食べないのか」を確認することが大切です。
ドッグフードを変えるべきケース・変えない方がいいケース
ドッグフードを食べないと、すぐに別の商品へ変えたくなるかもしれません。
ただし、フード変更が適しているケースと、先に受診した方がよいケースがあります。
ドッグフード変更を検討してもよいケース
次のような場合は、ドッグフードの相性を見直してもよいでしょう。
- 元気はある
- 嘔吐や下痢がない
- おやつや他のフードは食べる
- 今のフードに飽きている様子がある
- 粒の大きさや硬さが合っていない
- 開封から時間がたち、風味が落ちている
- 年齢に合ったフードへ切り替えたい
この場合も、急に全量を変えるのではなく、数日かけて少しずつ移行しましょう。
先に受診した方がよいケース
次のような場合は、フード変更よりも受診を優先しましょう。
- 急にまったく食べなくなった
- 元気がない
- 嘔吐や下痢がある
- 水も飲まない
- 体重が減っている
- 口を痛がる
- シニア犬で食欲低下が続いている
- 持病がある
- 異物を飲み込んだ可能性がある
体調不良が原因の場合、フードを変えても根本的な解決にはなりません。むしろ原因の発見が遅れることもあります。
動物病院で伝えるとよい情報
受診する場合は、食欲の状態をできるだけ具体的に伝えると診察に役立ちます。
メモしておきたいのは次の内容です。
- いつから食べないのか
- まったく食べないのか、少しは食べるのか
- 水は飲んでいるか
- おやつや好きなものには反応するか
- 嘔吐や下痢はあるか
- 便や尿の状態
- 最近フードを変えたか
- おやつやトッピングの内容
- 誤飲の可能性
- 体重の変化
- 服用中の薬やサプリメント
- 最近の生活環境の変化



「いつもより少ない」だけでは伝わりにくいため、できれば普段の給餌量と、実際に食べた量をグラムで記録しておくと分かりやすいです。
よくある質問
犬がドッグフードを食べないけど、おやつは食べます。病気ではないですか?
おやつを食べる場合、単なる好き嫌いや食べ渋りの可能性もあります。
ただし、病気でも好きなものだけ少し食べることはあります。元気がない、吐く、下痢をする、体重が減っている、口を痛がるなどの症状がある場合は、早めに動物病院へ相談しましょう。
何時間食べなければ病院に行くべきですか?
成犬で元気があり、水も飲んでいて、少し食べ渋っている程度なら半日〜1日様子を見ることもあります。
ただし、24時間以上ほとんど食べない、元気がない、嘔吐や下痢がある、水も飲まない、子犬・シニア犬・持病がある場合は早めに相談しましょう。Small Door Veterinaryでも、24時間食べない場合、とくに他の症状がある場合は獣医師への連絡をすすめています。
ドッグフードをふやかしても大丈夫ですか?
はい、ぬるま湯でふやかす方法は、食いつき改善や食べやすさの面で役立つことがあります。
ただし、ふやかしたフードは傷みやすいため、長時間置きっぱなしにしないようにしましょう。食べ残しは早めに片付けることが大切です。
フードにトッピングしてもいいですか?
少量であれば、食いつき改善に役立つことがあります。
ただし、毎回たっぷり加えると、主食を食べなくなったり、カロリーオーバーになったりすることがあります。トッピングは香りづけ程度にして、総カロリーに含めて考えましょう。
急にフードを変えてもいいですか?
基本的には、急に変えずに少しずつ移行するのがおすすめです。
AAHAの資料では、犬のフード変更は7日ほどかけて移行する方法が紹介されています。急な切り替えは、消化器症状や食物への嫌悪につながることがあります。
食べないときに人の食べ物をあげてもいいですか?
基本的にはおすすめできません。
人の食べ物は、犬にとって塩分や脂肪分が多すぎることがあります。また、一度もらえると覚えると、ドッグフードを食べずに待つようになることもあります。
食欲が落ちているときは、人の食べ物でごまかすより、原因を確認することが大切です。
まとめ
犬がドッグフードを食べない原因は、好き嫌いだけではありません。
体調不良、口や歯の痛み、フード変更、鮮度の低下、おやつの与えすぎ、環境ストレス、加齢など、さまざまな理由が考えられます。
まず確認したいのは、次の3つです。
- まったく食べないのか、ドッグフードだけ食べないのか
- 元気・嘔吐・下痢・水分摂取に変化はないか
- フード変更、保存状態、おやつ、環境変化がなかったか
元気があり、少し食べ渋る程度であれば、フードを温める、ふやかす、食器を見直す、おやつを減らすなどの工夫で改善することがあります。
一方で、24時間以上ほとんど食べない、元気がない、嘔吐や下痢がある、水も飲まない、子犬・シニア犬・持病がある場合は、早めに動物病院へ相談しましょう。
「食べない」は、犬からの大切なサインです。単なるわがままと決めつけず、体調と生活環境の両方から原因を探してあげましょう。







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